【復刻インタビュー】KEN THE 390 "プロローグ" リリースインタビュー (2006年3月新星堂横浜ジョイナス店購入者特典)

こちらのインタビューは、浮き輪さんのご好意により、2006年3月に新星堂横浜ジョイナス店にてKEN THE 390"プロローグ"を購入いただいた方に特典で配布されたインタビュー転載させていただいています。

浮き輪さんありがとうございます!!

どうも、新星堂横浜ジョイナス店由利"浮き輪"圭一と申します!この度はKEN THE 390『プロローグ』をお買い上げありがとうございます!

男前なアルバムについて語る内容も男前!マイメンゆえにざっくばらんすぎるところもありますが、ご容赦頂ければと思います。

都内某所のKEN宅で、お話をうかがいました。

それでははりきってどうぞ!


■HIP HOPとの出会いからいきましょう。

KEN THE 390(以下、K):中1ぐらいから元々、バンドをずっとやってて中3ぐらいからメロコアとかが流行りだして、3ピースバンドみたいなのをやってて、KORNとかレッチリ(RED HOT CHILI PEPPERS)とかレイジ(Rage Against The Machine)とかああいうのを聴きだして、高2ぐらいになった時にそっち経由でHIP HOPに入ってきましたね。

■初めに聴いたのはHIP HOPは何だったの?

K:最初に聴いたのはTRIBE(A TRIBE CALLED QUEST)とかRUN-DMCとかブッダ(BUDDHA BRAND)とかが全部まとまってるMDを高校のHIP HOP聴く友達がくれて、それをずっと聴いてましたね。日本語ラップだと今、思うと"大怪我"とか、TRIBEだと"Bonita Applebum"とかRUN-DMCだと"ビーツ・トゥ・ザ・ライム"や"ウォーク・ディス・ウェイ"が

入ってて、わけのわからないMDでしたね(笑)

■バンドやってたのにHIP HOPにのめりこむようになったきっかけは何だったの?

K:ずっとバンドでベースをやってて、あんまりボーカル的なことはしてなくて。もらったMDとかを聴いてたけど、その時はあんまり日本語ラップとかに興味がわかなくて、TRIBEとかRUN-DMCがすごいかっこいいと思ってて、そんな中、友達のウチで『Krush Groove』っていうけっこう有名なRUN-DMCが主役やってる映画を見て、それにビースティー(Beastie Boys)とかRUN-DMCのライブとかが入ってて、そのライブのシーンが鬼かっこよくて。友達がやってるラップグループに俺もやるよって入って。それが高2の終わりぐらいかな。高校の時は周りはみんなバンドやってるからライブはライブハウスでしたね。学校のみんなでライブハウス借りて、対バンで出たり。 繋がりとかがあるのがライブハウスの店員とかだから「ライブ出して下さいよ」って言ったら、バンドと一緒みたいな。

■その辺は遊びの一環だったんでしょ?本気になったのはいつぐらい?

K:遊びの一環…。遊びも本気もあんまり(境が)ないからなぁ。ずーっと大学受験の勉強もしながらやってましたね。

■大学行って、GALAXY(多数の関係者を輩出する有名サークル)に入ったんだよね。

K:そうすね。で、今の志人とグループをやり出して、2年半ぐらいやって、大学3年生の初めぐらいに解散してソロみたいな感じですね。

■1人でやり始めたのには理由がある?

K:お互いの今を見ればわかるように完全に方向性が違うから。それで解散したので、ですね。

■ソロになってから、活動は主にどこでやってたの?

K:色んなとこでやってましたね。それこそ年間100本ぐらいやってたから、都内のクラブというクラブ全部やってましたね。平日もやりまくってましたからね。毎週2本ぐらいで。元々2人でやってた時に知り合ったオーガナイザーとか、たくさんライブやってるとたくさんの人に見られて、いいライブしてればその分、声かけられるから。それがずーっと続く感じですよね。

■ダメレコというかダースに会うきっかけは"極悪がんぼ"(D.M.R.『GUMBO』収録の"極悪がんぼ(極悪バージョン)"のオリジナルでダースレイダー名義の自主製作シングル収録ナンバー)なのかな?

K:がんぼのレコーディングの時に初めて会ったのかな?2年前の夏かな?元々メテオとは仲が良くて。レイさんがCubaseを買ったらしいっていうのはメテオから聞いてて。レイさんが録音できるようになったから、録るぞ!ってなって、メテオが知ってるラッパーにバーッと電話をかけて、それで集まったのがあのメンツだったって感じですね。

■メテオとは何繋がりだったの?

K:カリオストロがSMRYTRPSとすごい昔から一緒にライブをやってて。それを知ってたんだけど、遊びには行ってなくて。メテオっていう変なのがいるよってデジが言ってて。初めて会ったのがB-BOY PARK2002のMCバトルかな。遊びに行って、メテオが予選決勝で般若さんとやって負けた時ですね。その時に話したのが初めてですね。

■ダメレコはどんな感じで出来上がっていったの?

K:完全に自然発生ですよ。がんぼから定期的にレイさんの家にヒマなヤツは集まって録音していくみたいなことになっていって、その時はリリースしようみたいなのは全然無かったんですよ。レイさんが録れるようになって、それが楽しいからどんどん作ってこうよみたいな感じで。俺らも学生でフットワーク軽かったし、平日も昼間からガンガン行くから。そのノリでみんな曲をガンガン作ってて、ある程度曲が出来たぐらいの時にレイさんが「俺、これアルバムにして出そうと思うんだよね。Da.Me.Recordsって名前で。」って言われて「あ、そうなんだ」と思ったぐらいですね。

■その後に、EI-ONE、はなびとりんごとしてアルバム『りんごのりんご』を出したんだよね。

K:りんごはEI-ONE、はなびがFASTってイベントに出てて、そこで毎月違うライブをやるよって言ってやってた時にネタが尽きて、もう新曲作れないよってなった時に、はなびがKENも含めた3人で3曲ぐらい作って、FASTに出ようよって話になって、俺はソロでFASTにはあんまり出てなかったから、面白そうだねってなって、ザクッと3曲作ったんですよ。

■それがもしかして、一時期配ってたあのりんごのデモ?

K:あのデモですよ。出来たの聴いたら「これ行けるんじゃない?結構良くない?」ってなってレイさんも「これ行けるだろ」って言って、アルバム作る?みたいになって。ダメレコはD.M.R.が出て、レイさんのアルバムが出て、次はみんなの中から誰かって考えてて、でもまだみんなソロで出すには知名度が無くて、パンチが弱いけど、3人一緒ならなんとかなるんじゃないか?面白いことが出来るんじゃないか?って、3人で曲を作り出したって感じですね。完璧に自然発生ですね。りんごとして、色を決めようとかは思わなくて、トラックだけもらってテーマだけ決めて、全然スタイルの違う3人がラップしたら何か起きるんじゃないか?ってノリで、何も起きない曲は入れなきゃいいから、ミラクルが起きてる曲を入れていこうよと。そういうスタンスでやってましたね。

■あとはケンはMCバトルのイメージも強いよね。

K:一番最初はB-BOY PARKのMCバトルですね。漢さんが優勝した時に志人がBEST4ぐらいになって、バトルもやらなきゃだなと思って、それからですね。その次の年に出て、一回戦で審査員をディスりたおして

負けたんですよ(笑)でも、(自分の)名前を知ってる人が増えたのはバトルのおかげですね。

■バトルは何ででるの?

K:最初はやっぱ名を売りたかったんじゃないですかね?でも純粋に負けず嫌いではありますね。勝っちゃうとクセになりますね。あと、単純に1対1でやり合うっていう場が面白いですね。普通の人は何で出ないのかな?って思いましたよね、その時は。今は考えも変わってきてて、まだ出るけど、何でもいいから出るっていうのはしないですね。普通に断ったりもするし。ディスしあうことが多くなるのがどうなのかなあと。俺はディスるよりも思ってる事をお客さんにしっかり伝えれば、勝てると思ってやってますね。

■りんごの後はタロケンでアルバム『JAAAM!!!』が出たね。タロケンは最初はどうやってやるようになったの?

K:太郎(TARO SOUL)も大学入った時から一緒にやってるから、自分のグループと太郎のグループで一緒にライブ出てたりもしたし。でも、太郎と曲をやったことはずっとなくて、先に太郎のグループが解散して、うちらのグループに太郎が参加して曲を作って。おたがいソロになった後に、それぞれのライブの最後にお互い参加してその曲をやったりして。太郎が出る時は俺がフューチャリングして、俺の時は太郎がフューチャリングしてやったりして。二人ともすごい本数ライブやってるから、それぞれのライブに参加し合うとライブの数がすごい増えるんですよね。でも、二人の曲は一年ぐらいの間、その曲だけでしたね(笑)でも、同じステージに立つのは多かったから、一緒にやればうまく行くってのは二人ともわかってたので。で、りんごの次に何を出そうかなって話になった時に、俺も太郎もソロか何かってなったんだけど、まだソロを出すタイミングじゃないだろうってことでタロケンをやることになったんですね。

■あ、あとエレメン学派って何?

K:エレメンタリースクールっていうイベントを大学生の時にやってて、それに俺のグループと太郎のグループとデジがカリオストロの前に組んでたグループと藤沢のジャンボってヤツと4組出てて、あとGALAXYのDJのヤツが出てて、新宿izmで一年ぐらいやってたんですよ。ただ、それだけですよ。だからエレメン学派と言えば、今は社会に出て、働いてるヤツがあと10人くらいいるんですよ(笑)カリオストロの曲にゲストで俺と太郎が呼ばれた時に、曲名何にしようかって言った時に、エレメンタリースクールでもいいけど、スクールなら学派にしちゃおうよって太郎が言ってエレメン学派って曲を作っただけなんですよ。

■んで、タロケンのアルバムを作ったと。

K:りんごの発売前から製作をやってて。りんごのレコーディングが終わると同時に、はじめましたね。だから、りんごから5ヶ月ぐらいでタロケンが出せたんですよ。

■タロケンぐらいからダメレコの名前が本格的に日本語ラップ好きの間に知られるようになったよね。

K:タロケンがそれまでの倍ぐらい売れたから、そこら辺で展開も変わりましたよね。お店で看板とかも付いたりして。何だか少し変わったなってのはありましたよね。

■タロケンは何なんだろうね?

K:グループって感覚もお互い持ってなくて、俺はソロなんだよっていうのをおたがい強く持ってるから。でも、2人で出来るパーティー感みたいなのは、好きだし。あのスタイルは1人じゃできないから。そういうのを2人ではやろうっていってやってますね。ああいう曲がやりたい時はタロケンでやるって感覚ですかね。

■今までのそのりんごやタロケン、バトルのイメージを踏まえると、こういうアルバムが上がってくると思ってなかった人が多いと思うんだけど、こういう内容にしようっていうのは元々考えてたの?

K:でも、俺のソロのライブを見たことある人は何も違和感が無いと思うんですよ。りんごとかタロケンのライブしか、見たこと無い人は違和感があるだろうけど。でもそれは、逆に俺のソロしか見たことが無い人がりんごとかタロケンを見た時に思うような違和感と同じだと思うんですよね。自分の中では、ソロの時はこういう風だからって感じですよね。

■アルバムはいつぐらいから作り出したの?

K:タロケン終わったら、ソロやろうって思ってて。でもタロケンのライブがマジで忙しかったから。3月いっぱいぐらいまでは月10本ぐらいライブずっとやって。4月ぐらいになって、ようやくソロの製作入りましょうかってなって、5月くらいからはじめた感じですね。11月くらいまで月1曲ペースで作っていってて、11月から1月で残りの半分ぐらいを作る感じでしたね。

■全体のイメージについては構想は立ててたの?

K:構想は無いけど、すごい意識してたのは、ステージ立ってラップしてる瞬間って、当たり前と言えば当たり前だけど、ラッパーのスイッチを入れてるんですよね。普段の時とステージ立ってる時とやっぱり違うじゃないですか?リリックを書いてる時も、ラッパーのスイッチを押してるんですよ。ライブ出る時もスイッチを押して、ラッパー・KEN THE 390としてやってて。そのスイッチをなるべく押さないで曲を作りたいし、押さないでライブやりたいな、と。自分の日常的な物の感覚で作りたくて。自分がHIP HOP好きだからHIP HOP的感覚はある程度はそういう感覚が入ってると思うんですよ。でも、そのぐらいな混ざり具合で曲を作りたいなって思って。だから、過度にHIP HOP的にしようとしないし、無理がなく自分の中で居心地がいい、普段の自分と同じような曲を作っていきたくてやっていきましたね。

■コマチの時もそうだったんだけど、今までのダメレコ作品と比べて音質が違うと思うんだ。それまでのはダースの意志でああいうひしゃげた、汚した音質に仕上がってたと。コマチのもやっぱり、今までのと違ってて、KENのもやっぱり、はっきり違うわけだよね。で、録音がダースの家からALI-KICK(Romancrew)のところに変わったっていうのもあるんだろうけど、それは狙ってそうしたのかな?

K:そうですね。ソロはディレクションを全部、俺がやってるから。曲の構成からどういうアルバムにしようっていうのも、ジャケットどうするってところまで全部まかせてもらえて。好きなように作って、好きなようにパッケージしていいよってなってるから。そうなった時に自分の好きな音で自分の好きな曲をやるってのは当たり前ですよね。今回並んでる楽曲を聴いて、汚した感じの方がいいか、クリアーな感じの方がいいかってそういうことですよね。逆にりんごを今回みたいな音質でやっても違うのかもしれないし。今回はこの音でやるのが一番良さが出ると思ったからってことですよね。レイさんも好きなようにやっていいよって言ってくれて。でも、そうやらせてもらえるのは、りんごやタロケンで実績を作ったからだと思うんですよね。だから、そういう立ち位置になれたことが、単純に嬉しいですよね。

■このアルバムはいろんな歌い方してるよね?

K:ソロはグループと違うから、曲のイメージとかテーマを決めて、オケに合わせて、こういう曲にしましょうねってガッチリ固めるんすよ。それを具現化する為に、どういうリリックをどういう歌い方で入れていくかっていう作業だと思うから。一曲一曲のクオリティーを自分のイメージ通りにするために声も合わせてるって事ですね。全部をひとつの声色で録れば、声のバランスはとれるかもしれないけど、自分のやりたい曲の雰囲気が全てできるわけじゃないから。グループだと、他の人との化学反応で着地点が違ってきたりしてそれが面白いから、それでもいいと思うんですけど、ソロはそうじゃないと思って、決めた所に当てに行く作業をしてるから。

■じゃあ、全曲紹介やりましょうか?

1、鬼さんこちら

K:鬼さんこちらっていうのは、追いつかれたくないし、逃げたいって感じで。すべてに対して。女の子もそうだし。俺らを評価してくれる人もそうだし。常に自分がやってることが最新であるべきだと思うから。今の自分はこれじゃないからっていうところに常にいなきゃいけないと思うから。そう思う反面、評価されたいわけだから、そういう狭間ですよね。

2、オーシャンズ3

K:1曲この3人でやりたかったんですよね。で、将絢、Organ、TAKATSUKIのA NIGHT IN BOMBAYを越える曲を作ろうと(笑)でもこの3人でステージでテンションの高い曲をやったら面白いだろうなと思って。あと、この3人は近くにいるのに一緒にやってないから、俺のアルバムでやろうかなと。

3、LOVE

K:アナログのために作った曲で、フロアでかかる事を考えてストレートにHIP HOPをやりました。フックの声の入れ方とかうまいし、トラックも流行りを踏まえてますよね。たぶん、レイさんなりにアナログを意識してると思うな。

4、星をつかめ

K:カトウ(ケイタ)さんは近くに住んでて、打ち合わせが一番多く出来たから、採用したトラックが多くなりましたね。だからこのアルバムはカトウさんの色が軸になってますね。2人でここはこうした方がいいんじゃないかってアイデアを出しあって、作っていけたから、面白いことが出来たと思います。1ループでやるのも好きだけど、ソロでやってるし、こうやって展開つけるのもアリだと思うんですよね。

5、ラジオの時間

K:これはあらかじめ、ラジオの曲にしようと思って、書いてて。日本語ラップのパンチラインを2バース目にたくさん盛り込んでますね。高校生の時、ラジオで色んな日本語ラップの曲とかを聴いてたから。そういう風に紛れ込ませていきたかったのもありますね。(引用は)やっぱり日本語ラップを聴いて育ってきたから、出ますよね自然と。HIP HOP好きな人が聴いた時とそうじゃない人が聴いた時に同じ手応えじゃつまらないから、わかる人にしかわからない共通言語みたいなのを入れたかったですね。トラックはY.O.Gのソロ用のヤツを奪い取りましたね(笑)

6、しゃべくり芸

K:一昨年の冬に出したEPに入れた曲を直したものですね。これはひたすらに韻を踏んでいって、早いビートに自分のラップがどこまでできるかみたいなのを当時やってて、そういう面白さも入れたかったから入れましたね。ある種、フリースタイル的な、ラップの面白さってそういうところもあると思うから。ありえない単語の並びも、韻踏んでラップすると格好良くなったりするし、韻を踏んでリリックを作ると、普通に文章を書いたんじゃ出てこない、いい言い回しとかも出てきたりするから。

7、はじまりのJAZZ

K:個人的にジャズが好きなんだと思いますね。静かな感じも熱いスピットする感じも。大自然のバッチリなビートに合わせて、"I gotta"、"You got"、"We gotta"で書いてみた感じですね。

8、小雨降る東京

K:これはねアルバムの一番最初に作った曲ですね。5月くらい、来たる梅雨に向けて雨の歌を作ろうと思って。基本的にネガティブなことも考え方次第でポジティブになるよっていうことで。だけど、あんまり大げさに言うことでもないと思うから、日常的なことに結びつけて歌えたらいいなって。雨が降ってても気の持ちようでウキウキ楽しめますよっていうことを書きたかったな。トラックは超SPビートですね。SP-1200でサンプリングするとこういうシャリシャリした音になるんですよ。これは典型的なそういう音で出来てますね。

9、walkin'

K:前の曲と歩いてる繋がりで作りましたね。カトウさんのトラックを聴かせてもらってる時にすぐにサビが出来て。walkin'な感じだよねって2人で言ってて、本当にそういうリリック書きますよって言って作りましたね。普通に歩いてる感覚で、お昼に書きましたね。過度にHIP HOPにしたり、無理にポップにするんじゃなくて、もっと自然にやりましたね。

10、すれ違い

K:コマチとラブソングをやろうねって話してて、コマチのアルバムで太郎も含めて、ラブソング3部作計画が練られてて、次のタロケンのアルバムでコマチをフューチャリングするんですよ。それで完結編を書くっていう。ストーリーを2人で作って、それをリリックに起こしていった感じですね。サビのメロディーはコモンとエリカ・バドゥの曲のをもらってます。トラックはMC JOEさんで。JOEさんは気に入ってくれてましたね。速見もこみちと山田優だよ!って言って(笑)

11、耳をすませば

K:直前まで東京ってタイトルでしたね。俺はこどもの国出身だから、東京と神奈川の端っこじゃないですか。今は三軒茶屋住んでるけど。だから、こっちに来てから見てる東京の歌ですね。でも、地方出身者ってわけじゃないから、その微妙な距離感を歌った感じですね。なるべく、ポジティブにリリックを書いていってたけど、ここが一番グレイかもしれないですね。

12、記憶

K:これは本当に記憶について歌っているんですけど、そういう曲にしようって言ってから、MAYAに先にサビを書いてもらって。色んな人が過去は気にするなとか言うけれど、俺は未練をひきずりつつでもいいんじゃないかっていう。

13、Back in the days part2

K:KAZZ-Kにこういう曲をやるからって言って、この曲をもらったんですよ。前のタロケンのアルバムに入ってたヤツはタカツキさんのトラックでやってて、2はKAZZ-Kのトラックでやりたいってのはずっと話してて、先にリリックを半分くらいあげて、この曲をもらったって感じですね。これはかぶせ無しで思い切り力強く歌って、それじゃなきゃダメだと思って。ライブはもっとよく歌える自身がありますね。

14、終わらないララバイ

K:カトウさんのトラックでタカツキさんにベースを入れてもらって、コーラスはお願いしてないのに入ってて(笑)聴いたら良かったから、バッチリ使わせてもらったんですけど。めっちゃ前向きな曲なんだけど、終始テンション低く歌うっていうのがやりたかった曲ですね。そうすることで違う聞こえ方が絶対あるから。

15、プロローグ

K:りんごのアルバムも俺のアルバムも最後の曲はIXL(思朗)なんですよね(笑)全部の自分の素のテンションを見せていって、はいここからやっていきますよっていうのをやりたかったからこういう曲を最後に入れましたね。自分の出来ることを色々やって入れたけど、所詮1枚目でこれから長いから。リリックは意識して外に向けて書いてますね。他の曲はそんなに外に向けて書いてないから。内にも向けてないけど、ひとりごとなテンションじゃないですか。でも、これはあきらかに相手を意識してリリックを書きましたね。選手宣誓みたいな雰囲気ですね。

■という、アルバムなんだけど、手応え的にはどう?

K:よくやったと思いますよ。色々感慨深いかな。ソロずっとやりたくて、やっとソロのアルバムが出来て。ダメレコの環境もこのクオリティーの音を出来たり、歌詞カードをちゃんと付けれたり、お店である程度スペースをもらえたりして。それを誰からもお金をもらわずに、自分らの作品で作り出したお金で製作できるようになったから。俺らは本当にインディーズなんですよね。1000円で色々言われたけど、色々やってきて今このクオリティーで出来て、ずっと2000円でやって売れない状況だったら、たぶんこれは出来ないから。色々言われるじゃないですか、ダメレコはダースレイダーが持ってって、みんな儲かってないんじゃないのとか。でも、俺らはこうやって、自分らの作品を自分の納得出来る環境でやるためにみんなでがんばってきて、出来たのはすごい嬉しいし、それは今までやってきたことの結果だと思うから。

■これから、どういうことをやっていきたい?

K:とりあえず、次はタロケンの2ndアルバムがあるから、それに集中しますよね。スタンスは変わらずにやっていきたいですね。仕事は早く辞めて、ラップだけで食っていきたいとは思うんだけど。贅沢を言えば、自分のやってることをちゃんと受け入れてもらえる人の数を増やしたいですね。逆に受け手が少ないから、やり方を変えるっていうのじゃ違うと思うから。受け手を増やすために、できることをやっていくっていう。ダメレコもきっと、その一端なんですよね。ここで、俺のアルバムを聴いて、俺のことを知ってくれる人も増えると思うし、次のタロケンではそれをさらに取りに行きたいですね。だから、次のソロを出す時は、今回以上の環境でやれればいいですよね。そして、もっと受け手がひろがってくれてるようにしたいですね。その為に色々がんばるし、一歩一歩進んでる感じですね。一段とばししてる感じはなくて、本当に少しずつ進んでますね。その分、ちゃんと仕事とかもしないと生きていけなかったりするから、そういう大変さもあるけど、仕事してても、アルバムをこのボリュームで作れるんだよっていうのを見せれて良かったとも思いますね。ラップやっててもやめちゃう人がいっぱいいて、仕事やったら、音楽出来ないってことは無いと思うから。大学生だと就職するからラップやめるとかあるけど、そういう選択肢を否定するつもりはないけど、やろうと思えば両方がんばれるっていうのをちゃんと見せたいっすよね。そういうことをしてる人がいないなら、逆にそういうことやれば誰ともかぶらないとも思ったし。両方やるのは超大変だけど、やってることを素直に出していけば、別にいいと思うんですよね。世の中の人はほとんどの人が仕事してるわけじゃないですか。会社とか大変なのは、みんなそうじゃないですか。その中でやるとより、音楽の大切さとかもわかったし。忙しくて、寝る時間も無いのに、ライブやったり、リリック書いたりしてると本当、自分音楽がどんだけ好きなのかがわかって。ラッパーとしても、人としてもプラスになってるし。今後状況変わって、仕事やめたとしても、こういう経験が絶対生きると思うし、生きないとシャレにならないと思う。他のラッパーじゃ、経験できないことを経験してるし、その強みは出した方が絶対いいと思うから。

■買ってくれた人に最後にひと言。

K:買ってくれてありがとうっていうのと、今回歌詞カードを付けてるのは歌詞もちゃんと読んで欲しいって思ってるのもあるんですよってことだから、それを踏まえて聴いて欲しいですね。ラップは音楽として歌詞見ないで聴いた良さもあると思うけど、歌詞見て聴く良さとあると思って歌詞カードをつけてあるので。俺のソロを初めて聴いてくれてると思うから、こういう人なんですよっていうのを知ってもらって、今後に備えて欲しいですね。どんどん出していくから。

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